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臓腑弁証
胃寒
陰寒が胃腑を凝滞させたために起きる証候。
多くは腹部が冷えたり生冷の食品を食べ過ぎたり、過労で中焦を傷付けたところへ
寒邪を感受したりして起きたものが多い。
■ 臨床症状
胃脘が痛み、軽ければ延々と続いて治らず、ひどければ引きつった激痛となる。
冷えると痛みが悪化し温めると好転する。 口淡で喉が渇かない。
あるいは神疲乏力・四肢が冷えて温めると喜ぶ、食べると痛みが減る。
あるいは胃でポチャポチャと水の音がし、口に冷たい水が溢れる。
■ 考察
胃脘の痛みと寒象の合併が診断のポイント。
寒邪が人体を侵襲し、陽気が傷付けられれば虚寒証であり、陽気が遮られれば
実寒証になる。 寒邪が胃腑を凝滞させ、絡脈が収縮 ( 収引 ) して、気機が鬱滞
するので胃脘が痛む。
寒は陰邪だが、陽を得ると解け冷やせば更に凝固して流れなくなるので、冷やせば
痛みが悪化し、温めれば痛みが減る。 口淡となり喉が渇かないのは、陰だから津を
消費せず、寒邪内盛の証拠で実の胃寒である。
もし病気が長引いて、痛みの発作が繰り返され、陽気を消耗してゆけば徐々に陽虚と
なるので実から虚へと変わる。
中気が不足すれば神疲乏力となり、肢体か陽気で温煦されなければ、四肢が冷えて
暖めるのを好む。 食べると陽気がエネルギーをもらって元気になるので、しばらく痛みが
緩解する。
胃気虚寒では、水穀の精微を温めて消化できず水液が内停して水飲となり、飲が胃に
停滞して振動させると胃袋からポチャポチャ水の音がする。
胃気が上逆すると、口に清水が溢れる。
本証では、陽気不足が虚で、水飲内停が実となるが、病状は常に変化するので、
虚実が混じった証になる。
【 舌脈 】 舌淡・苔白滑、白膩 / 脈遅弦
【 治療原則 】 温中散寒
【 処方穴 】 脾兪(灸)/ 中脘・気海・足三里・公孫
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湿熱蘊脾
湿熱蘊脾証は、中焦に湿熱が溜ったことで起きる証候。
湿熱の外邪を感受したり、美食や酒、乳製品ばかり食べていて徐々に湿ができて
熱が発生するなどで起こる。
■ 症状
腹部の痞悶・納呆( 食欲不振 )や嘔悪 ( 悪心 )・便溏( 下痢 )・尿黄
肢体困重 ( 肢体が重怠い ) あるいは面目や肌膚が黄色くなり、
その色がミカンのように鮮明で皮膚が痒い。
あるいは身熱が出たり下がったりし、汗が出ても熱が治まらない。
■ 考察
湿熱蘊脾証は、脾の運化機能の障害に湿熱内阻 ( 湿熱が中焦を障害する ) が
加わっていることが診断基準。
湿熱の邪が脾胃に蘊結し、水穀の受納や運化ができず、脾胃の気の昇降が
異常になるので、脘腹痞悶・納呆・嘔悪が起きる。
脾は肌肉を管理するが、湿の性質は重くして付着するので、脾が湿に障害されると
肢体が怠くて重くなる。
湿熱が脾に溜り、湿と熱が交互に障害して下に迫る ( 湿だから下へ降りる) ので、
大便が溏泄 ( 水様便の下痢 )となり、排便してもスッキリせず、小便が短赤となる。
湿熱が脾胃に溜り、近くの肝胆を熏蒸し胆汁が正常な通路を通らずに外の肌膚に
溢れると皮膚が痒くなり、面目が黄色くなるがその色はミカンのように鮮やか。
湿が遮って熱が潜むので、熱は湿の中にあり湿熱が鬱して蒸すため、
身熱が出たり下がったりし、汗が出ても熱が退かない。
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【 舌脈 】 舌淡紅・苔黄膩 / 脈濡数
【 治療原則 】 清熱化湿
【 処方穴 】 中脘・合谷・曲池・豊隆・陰陵泉
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寒湿困脾
寒湿が内盛となって、中陽 ( 中焦の脾陽 ) が障害されて起きた証候。
飲食不節・生冷の食品を食べ過ぎた・雨に濡れて歩いたり水の中を歩いた
湿った場所にいた・内湿が盛んな体質などで発生することが多い。
■ 臨床症状
脘腹 (上腹部) が痞悶して脹痛がある・食少で便溏 (下痢 )
泛悪 ( 悪心 ) して吐きそう・口淡 ( 味がしない ) で喉が渇かない
頭や身体が怠くて重い・顔色が黒っぽいか黄色。
あるいは肌膚や顔目が黄色くなり、その黄色は煙でいぶしたように黒っぽい
あるいは肢体の浮腫、小便短少
■ 考察
寒湿困脾証は、脾の運化機能の障害に、寒湿中遏 ( 寒湿が中焦を障害する )
の加わった症状が証を調べるポイント。
脾の性質は、燥を好んで湿を嫌うので、寒湿が内へ侵入すると、
中陽が障害され脾気が遮られて運化できなくなり、脘腹部に軽ければ痞悶
重ければ脹って痛み、食欲が減退する。
湿が腸中に注ぐと、大便が溏薄 ( 水っぽい ) になりひどければ泄瀉となる。
胃気が和降しないので、泛悪して吐きたくなる。
寒湿は陰邪に属すが、陰邪は同じ陰に属す液を消耗しないので、
口淡で喉が渇かない。
脾は肌肉を管理し、湿の性質は重くして付着するので、肢体が重くなり、
清陽が広がらないので頭が包まれたように重い。
湿が障害して気滞が起きれば、気血運行が不利になり、
外では肌膚を繁栄させられず、顔が黒っぽい黄色となる。
寒湿が脾を障害し、陽気が行き渡らず、それに伴って胆汁も外へ漏れ、
肌膚や面目(顔と目)が黄色くなり、その黄色は煙でいぶしたように黒っぽい。
陽気が寒湿で遮られるので、水湿を温めて代謝することができず、
肌表に溢れて肢体の浮腫となる。膀胱気化ができないので小便が短少になる。
寒湿困脾と脾陽虚は、どちらも脾が健全に運化できず、
寒象 ( 寒状態 ) と湿阻 ( 湿の障害 ) がある。
しかし両者は重点が異なるので、鑑別のポイントを以下に示す。
寒湿困脾証 :寒湿が内を侵し、中陽が障害されたもので、性質は実
発病して間がなく白膩苔、濡緩脈。
脾陽虚証 :陽虚のため運化できず、寒湿が内生したもので、性質は虚
発病して長く白滑苔、沈遅脈。
【 舌脈 】 舌淡紅~肥大・苔白膩 / 脈濡緩
【 治療原則 】 温中化湿
【 処方穴 】 中脘・足三里・三陰交・公孫 / 内関
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胃気不足
■ 臨床症状
食欲減退・曖気・脘悶・腹部の陰痛・喜按・食べると軽減
■ 考察
胃気が不足しているため降濁作用に影響し受納能力が低下
飲食の不摂生・ストレスによっておこる。
【 舌脈 】 舌淡・苔薄白 / 脈濡
【 治療原則 】 補気調胃
【 処方穴 】 脾兪・中脘・気海・関元・天枢・足三里
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